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  COPYRIGHT(C)1998-ARAKAWA KATSUMI,SAIDIA FURAHA wo SASAERU KAI & Hikari Miura ALLRIGHT RESERVED. Illustration by Jin Kawaguchi. 禁無断転載  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現地サイディア・フラハの訪問レポートです。じかなる体験の、生の声をどうぞ。

サイディア・フラハ訪問記
文珠川伸治
 

(サイディア滞在:2009年12月~2010年1月のうち2週間)

2009年12月~2010年1月の間に2週間をサイディア・フラハで過ごしました。その時の体験、感じた事、考えた事についてまとめたいと思います。

① 温かな出迎え
 日本から24時間以上かかりケニアの空港に到着すると、カルリ園長、施設に滞在している子ども達が温かく迎えてくれ、一人一人と握手をかわす。初めて彼等と会った時の印象は、人が良さそうだなーと感じた。「サイディア・フラハ(以下「サイディア」と記す)」に到着し、チャイを飲みながらゆったりとした時間を過ごし、長旅の疲れを癒す。寮に住んでいる他の子や、サイディアの職員の人たちとも顔を合わせる。みな口々に「ようこそサイディアへ」と温かく受け入れてくれた。


② 特別なクリスマス、カルリ園長の家でホームステイ
 ケニアでの生活がちょうど一週間経った12月23日から26日まで、カルリ園長の家に3泊4日でホームステイをさせてもらった。その間、カルリファミリーとはとても仲良くなる事が出来た。現地でのクリスマスは日本でいう正月のような感じで、出稼ぎに出ていた家族や別の場所で暮らしている息子や娘達が実家に戻り、クリスマスを祝う。ホームステイ中には、私は折り紙を教えたり日本の写真を見せたり、彼等からは羊の絞め方、肉の捌き方を教わったりと異文化交流を行った。
 カルリ園長宅でクリスマスを過ごして強く感じた事は、彼等は人と人との距離が大変近く、お互いを大切にし合い、そしてみな役割分担がきっちりとしているのだという事。クリスマスパーティーの日には、男性は羊を絞め、すぐに肉を捌き、どんどん焼いていく。その間女性は、ウガリやチャパティの準備をする、といった感じに。


③ 新学期が始まって
 ケニア・タンザニア一週間の一人旅を終え、キテンゲラの町に無事に戻り町を歩いていると、沢山の友人に会った。「Shinji お帰り、タンザニアはどうだった?」とみな聞いてくれた。サイディアに戻っても、職員や寮の女の子達も「Shinji お帰り、新年おめでとう。寂しかったよ。タンザニアはどうだったの?」と声をかけてくれた。彼等の人との繋がりを大切にし、一人の人を大切にする温かさに触れ、とても嬉しく思った。そして、キテンゲラ、サイディアはすでに私のホームであると改めて感じた。サイディアに戻ったときの安心感は今でも忘れない。
 サイディアに戻った次の日の1月6日からサイディア幼稚園の新学期が始まり、サイディア内が一気に騒がしくなった。同時に寮の女の子達も学校が始まり、忙しそうに動き回っていた。園児達とは休み時間に鬼ごっこやブランコを押してあげたりして、楽しく遊んだ。生まれたときから、高地で育っている彼等はとてもタフで、高地に慣れていない私は、走るとすぐに息が切れた。鬼ごっこは疲れたが、とても楽しかった。寮の女の子達ともお互い暇な時は、駆けっこをしたり、現地で子ども達がするゲームや、縄跳びをしたりして遊んだ。その他畑の水撒き、日本人ビジターへの対応、掃除、調理等の仕事も一緒に協力して行った。その思い出全てが宝物。


   おわりに
 今回のアフリカ訪問ではサイディアを拠点に様々動き回る事ができ、多くの事を学ばせてもらえた。現地で強く感じた事は、彼等は人と人との繋がりが大変強く、お互いを大切にし合う事。彼らは貧しいが、とても明るくエネルギーに満ち溢れている事。そして飢えがなく、食べる事が出来ている人々の精神的な幸福感は、日本よりも高いのではないかとも感じた事。それらは、彼等の役割感や重要感が大きく影響しているのではないかと思う。
  小さいうちから親の手伝いをする子ども達には、家族としての重要な役割があり、掃除、洗濯、料理などを手伝っていた。また友人関係もとても大切にする彼等は、仲間同士の間に確りとした役割があるように感じた。誰かに必要とされている感覚を常に味わえている事から、彼等の幸福感はくるのではないかと思う。それは人と人の繋がりからくる幸福感。日本が昔戦争に負け、焦土の状態から立ち上がった時、人々は助け合って生きていたのではないのだろうか?家族の中でも、近所同士でも。ところが今は、人の助けをあまり借りずに、物やサービスが代わりに仕事をしてくれるようになり、人間関係が希薄になった。その辺りから幸福感が失われてきているのではないかと感じた。
 アフリカと日本、日本が現地に貢献できる事は技術力の提供、資金援助等沢山あると思う。それと同時に私達が彼等から学べる事、学ばなくてはならない事も沢山あるのだという事を強く感じた。今回の訪問で手にした宝物は、貴重な体験・経験、人脈、新たな気づき・新たな思考等様々。それらを手にすることが出来た私は、心から現地へ行く事が出来て良かったと思っている。