2022年4 月の 20 日から 25 日の約 5 日間、サイディアフラハで生活をしながら子ども達と遊んだ り、
荒川さんの紹介でサイディアフラハとつながりのあるケニアの団体を訪問したりさせていただきました。
私の体験を共有する機会をいただきましたので、その内容と感じたこと を、
ビヨンボ通信を通してお伝えできたらなと思います。
〇サイディアフラハでの生活
私がサイディアフラハでお世話になった 5 日間はまだ学校が休みの期間だったため、
子どもたちはみんな親戚の家に帰っていました。
そこで私はママ(寮母さん)・リリー(仮名)ちゃんと共に生活し、
日中は荒川さん(アンコー)や他のスタッフさん達も来る、といった状況でした。
ここでの生活はケニアの一般家庭と同じであるため、日本と比べると整った生活環境ではありません。
私は 1 年以上東アフリカで生活していたので、
こちらの食事や水、生活環境諸々に慣れていましたが、
ここが初めての日本人の方々には正直大変な生活ではないかなと思いました。
しかし、だからこそ日本人にとってはいい経験になると思います。
また、いつもママが私のことを気にかけてくれ、何かあればママに相談するとできる限り対応してくれました。
リリーやスタッフさん達も、彼女はいいママで大好きだ、と話していました。
荒川さんによると、ママも大変なようですが、それでもいつも子ども達に愛情を注ぐ様子に、
私は「素敵だな」と思って見ていました。
日本人訪問者が多いため、ママは日本のこともよく知っていました。
喋るまではいかなくても、日本語の単語を上手に使ってくれたり、日本人の味の好みを知っていたりもしました。
いつも楽しそうな、明るくチャーミングなママです。
ママの手料理キデリ(トウモロコシと豆の煮物)
リリーは小さいころに両親を亡くし、残念ながら親戚にも暴力をふるわれてしまったので
休み期間もずっと施設で生活していました。
HIV エイズの影響で、20 歳ですがかなり見た目も性格も幼く見えました。
好奇心旺盛で、私が外部を訪問するときはいつもついていきたそうにしていたし、
日本の事もたくさん聞いてくれました。ママのお手伝いも率先して行う優しい女の子です。
私は日本のとあるNGO でインターンをしており、その関係でウガンダ北部に 9 か月滞在していました。
荒川さんも 2000 年代初期に同地域に滞在していたことがあるそうで、
また私の知人の多くと関わりを持っているなど、共通の話題が多かったです。
それだけ荒川さんのアフリカ歴が長く、よく知っていらっしゃるということなのですが、
私にとっては偶然知ることとなったサイディアフラハと荒川さんと、
そんなつながりがあると知ってびっくりしたし親近感が湧き嬉しかったです。
〇活動1日目(21 日)
ジョアン(仮名)を訪問しました。
サイディアフラハの学校近くにある教会の敷地内に叔母さんが住んでおり、
叔母さんの子ども達と生活していました。ジョアンはシャイな子で、最初は叔母さんに隠れていましたが、
打ち解けてくると積極的に自分のことを話してくれるようになりました。
ジョアンはお祈りの際のタンバリン奏者として活躍しているそうで、
素敵なタンバリン演奏も披露してくれました。
ジョアンもリリーと同じ様に小さい頃に両親を亡くしており、
普段はサイディアフラハで生活しています。
叔母さんは小売店を営んでおり、
豊かではないものの、ジョアンを本当の娘と同様に愛し育てている様子が見られました。
叔母さんとの生活の中ではなるべく料理・農業・洗濯など、
日常生活に必要な知識を身に付けさせようとしており、また日曜日は教会のサンデースクールに通い、
熱心に聖書について学んでいるそうです。
叔母さんが最後に「どんな時でも笑顔が大事。
辛くても笑顔でいれば前向きに頑張れるし、幸せが舞い込んでくる」と素敵な言葉でジョアンを鼓舞していました。
辛い経験をしていても、叔母さんから温かい愛情をもらっているジョアンは、
これからも周りに優しさを向けていけると思います。
〇活動 2 日目(22 日)
この日はサイディアフラハと関わりのある2つの団体を訪問しました。
1つ目はウンドゥグチルドレンセンター(Undugu society of Kenya が運営するUndugu children center)という
ストリートチルドレンの施設です。ここでは「救出(Rescue)、更生(Rehabilitate)、再統合(Reintegrate)」の
3つのR の活動を行っています。
家族やコミュニティが子どもを育てるべきだと考えているため、
施設内での支援は最大 6 か月のみ で、その後はそれぞれの家に帰し、
学費補助や親のビジネススタートアップフォローなど、フォローアップを行います。
子ども達は施設内でカウンセリング、セラピー、家事、聖書を学んだり子ども同士でお互いのことを
共有したりするクラスワーク、といったことを行います。
常に何か作業(クラス、家事、スポーツ、アートなど)をすることで、
ドラッグやストリートのことを考えないようにさせているのだそうです。
同時進行で、子ども達が帰るべき場所である家庭の支援も行います。
ストリートチルドレンの家庭は貧困であるため、親もかなり精神的ストレスがかかっています。
そんな親たちのメンタルケアを行ったり、子ども達との関わり方を指導したりもします。
8 歳~15 歳の 25 人前後の男女が受け入れられており、
実はリリーもここで 4 か月ほど生活してサイディアフラハに来ました。
リリーもここでの生活は楽しかったようで、また現役の子ども達は「ここに来られてよかった。
これから学校に行ってちゃんと就職したい」と話してくれました。
子ども達と共に(左下:私、右下:荒川さん)
2 つ目はディスレクシア(Dyslexia)という障がいを持つ子ども達の施設です。
ここにはケニア中から子どもが集まってくるどころか、海外からの応募もあるそうです。
現在はブルンジからの子どもが 1 人通っています。誰にでも才能はある、という考えのもと、
障害を持っていても隠れた才能をのばすことで自己肯定感をつけ、
社会に認められやすくしようとプログラムが組まれています。
そのため、アートやアクセサリー作り、スポーツ、音楽に力を入れています。
優秀な子が多く、絵画などが表彰されたり美術館に保存されたりなどしているそうです。
学校にもたくさんの表彰状やトロフィー、取材されたときの新聞のスクラップなどがありました。
初等教育から高等教育の子ども達が約 180 人通っており、そのうち 100 人は施設内で生活しています。
ケニアの通常カリキュラムも実施しますが、それに加えて上記の才能育成や家庭科・
農業などの日常生活で役立つ実践的な授業も重視しています。
1 人で生活したり、就職して生計を立てたりするのが難しい場合の多い障がい者のことを考えた
プログラムになっているのだな、と強く思いました。
サイディアフラハ同様、子ども達は帰省しているため学校にいませんでしたが、
先生たちも子ども達の才能や頑張りに誇りを持っているようで、学校に子ども達のアートが飾ってあったり、
子ども達作のアクセサリーを身につけたりしていました。
子どもの絵画の一つ(左上も子ども作のアート)
〇活動 3~4 日目(23~24 日)
この 2 日間は荒川さんのお宅にお邪魔してご家族と交流させていただいたり、
サイディアフラハ卒業生のマサイの方にサバンナを案内していただいたり、
サイディアフラハのもう一人の理事であるデニスさんにお話を聞かせていただいたりしました。
どれも有意義で楽しい時間でしたが、特にジャーナリストでもあるデニスさんとの会話は、
ジャーナリスト志望の私にとってとても貴重な機会でした。
デニスさんとカッパとともに(デニスさんはカッパが大好きです)
〇最後に
サイディアフラハで 4 泊させていただき、その中で子ども達やスタッフと関わり、
みんなが仲良く幸せそうに生活しているのを身近に見たり、「サイディアフラハが好き」
「アンコーはいい人だよ」と言っているのを聞いたりすることができました。
また、訪問した現地の団体も、ケニアの問題にきちんと向き合い、ケニアに合った形で活動している様子に、
現地団体の力を感じました。外国の団体が入ってきて支援をすると、資金は豊富な場合が多いですが、
本当に必要な支援をすることはなかなか難しいです。
しかし、今回訪問した団体やサイディアフラハのように、
その地域に根差してやっているとニーズも見えてきやすいし、コミュニティと共に活動でき、
その地に適した形の活動ができると思います。
改めて素晴らしい活動をされているサイディアフラハの皆さんに感謝、今回の訪問を快く受け入れてくださり
諸々の準備や手配をしてくださった荒川さんに感謝、日々のお世話をしてくださったママに感謝、
訪問を受け入れてくださった団体さん達に感謝、私と楽しい時間をともにしてくれたリリーに心より感謝します。ありがとうございました。
みんなで記念撮影
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